「ランニングシューズは、結局どれを履けばいいですか」と聞かれます。
先に結論を言います。私は1足の万能さを探すより、走る目的に合わせて役割を分ける方を選んでいます。
理学療法士として臨床10年目。市民ランナーとして年間1,000〜1,500km前後を走り、フルマラソンも複数回完走しました。現在は5系統のシューズを、平日のジョグ、週末のロング走、ペース走、レース、ウォーキング・低強度日に分けています。
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本人の一次体験:2026年6月時点で運営資料に記録した、私自身の自己申告による5足の使い分けです。
メーカーの一次情報:現行世代について、各社が公式ページで示す用途や設計上の位置づけです。私の保有世代と同一とは限りません。
研究情報:複数のランニングシューズを並行使用したランナーを追跡した査読研究です。
結論:私の5足は「優劣」ではなく「担当」が違う
私のローテーションは、次の5役です。
| 使う場面 | 記録しているモデル系統 | 私が任せている役割 | 購入順位ではない理由 |
|---|---|---|---|
| 平日のジョグ | New Balance Fresh Foam X 880系 | いつものロードを走る基準役 | 距離と体調を比べる土台にしやすい |
| 週末のロング走・LSD | ASICS GEL-NIMBUS系 | 長く、ゆっくり走る日 | ペースより時間を優先する日がある |
| ペース走・インターバル | Nike Pegasus系 | 速度を上げる練習 | 日常のジョグと練習意図を分けたい |
| ハーフ以下のレース | adidas adizero adios Pro系 | レース当日の選択肢 | 普段履きには使わず、用途を限定する |
| ウォーキング・低強度日 | ASICS GEL-KAYANO LITE系 | 走らない日や移動 | ランニング用4役と生活用を分ける |
これは2026年6月時点の自己申告です。モデルの世代、走力、足の形、練習内容が変われば、組み合わせも変わります。
5足すべてをそろえることが正解ではありません。大事なのは、今の1足に何を任せているかを言葉にすることです。
本人の一次体験:履き分けると、判断材料が増えた
ローテーションの良さを「足に良いから」とは決めていません。私にとって一番大きいのは、走った後の体感を、目的とシューズの組み合わせで振り返れることです。
平日のジョグは、880系を基準役にする
平日のジョグでは、New Balanceの880系を使っています。
いつものコース、いつもの強度で履くシューズを決めると、「今日は脚が重い」「同じ距離でも前足部が気になる」といった変化を振り返りやすくなります。
ニューバランスは現行のFresh Foam X 880 v15を、デイリーランからフルマラソン完走を目指す場面まで想定したニュートラルクッショニングモデルとして案内しています。これはメーカーの位置づけです。私が880系を平日ジョグに使うという体験と、製品の医学的な結果は別です。
外反母趾の観点から880を見る場合は、NB880 v14を読み解く5つの観点で、ワイズ、つま先空間、かかとの収まりを整理しています。
週末のロング走は、GEL-NIMBUS系へ替える
週末に長く、ゆっくり走る日はASICS GEL-NIMBUS系です。
アシックスは現行のGEL-NIMBUS 28を、クッション性を重視したモデルと説明し、自分のペースでゆっくり走りたい人やマラソン完走を目指す人を想定しています。ここでも、メーカーの説明は現在販売される世代の情報であり、私の保有世代そのもののレビューではありません。
ロング走では、靴ひもの通し方も体感に関わりました。私の場合、ヒールロックへ切り替えたときに前足部の感覚が変わった経験があります。だから、違和感が出たときに「クッションが合わない」と即断せず、かかとの浮き、前滑り、ひもの締め方も一緒に見ます。
ヒールロックで同じ変化が全員に起こるとは限りません。甲の圧迫やしびれが出る締め方は続けず、元へ戻してください。
ペース走は、Pegasus系で練習意図を分ける
ペース走やインターバルではNike Pegasus系を使っています。
ナイキの現行公式ページでは、Pegasus 42を毎日のロードランニング向けとし、反発力のあるクッショニングと、さまざまなペースへの対応を説明しています。一方、「ペース走に使う」は私自身の使い方です。公式説明から全員の最適な練習用途を決めることはできません。
速度を上げる日は、シューズだけでなく走行量も変わります。走った後に膝が張ったときは、「この靴が原因」と一つに決めず、速度、距離、路面、前日の疲れを並べて確認します。
レースは、adios Pro系に用途を絞る
ハーフ以下のレースではadidas adizero adios Pro系を選んでいます。
アディダスは現行のadios Pro 4を、レースで速さを求めるランナー向けとして案内しています。私も日常のジョグ用とは分けていますが、レース用シューズを履けば記録が伸びると約束するものではありません。
レース用を別にすると、使用場面は明確になります。ただし、本番だけ初めて履くことはしません。短い距離から履き、かかとの浮き、足指の当たり、マメができる位置を確認します。
走らない日は、GEL-KAYANO LITE系へ替える
ウォーキングや低強度の日にはASICS GEL-KAYANO LITE系を使っています。
このモデルは運営資料に記録した、自己申告による保有例です。現行商品の購入案内ではありません。走らない日までレース用や速度練習用を使い回さず、生活の移動を別枠にしています。
休む日を作ることと、特定の靴を履くことは同じではありません。低強度日の過ごし方は、睡眠、仕事量、前日の走行なども含めて考えます。
メーカー公式情報は「現行世代の説明」として読む
公式ページは、製品の素材、設計、想定場面を確かめる一次資料です。ただし、メーカー自身による商品説明でもあります。
| モデル系統 | 現行公式ページで確認できる位置づけ | この記事での扱い |
|---|---|---|
| Fresh Foam X 880 | デイリーランからマラソン完走を目指す場面まで | 私の平日ジョグという使い方と照合 |
| GEL-NIMBUS | クッション性を重視し、ゆっくり走る人や完走を目指す人も想定 | 私のロング走・LSDという使い方と照合 |
| Pegasus | 現行Pegasus 42は毎日のロードランニング向けで、さまざまなペースを想定 | 私のペース走・インターバルという使い方と区別 |
| adios Pro | レースで速さを求めるランナー向け | 私のハーフ以下レースという使い方と照合 |
| GEL-KAYANO LITE | 私の保有記録。この記事では現行商品として扱わない | ウォーキング・低強度日の一次体験だけを記載 |
同じシリーズでも世代が変われば、ミッドソール、アッパー、重量、幅展開が変わります。シリーズ名が同じでも、過去に履いた一足の感想を現行モデルへそのまま移さないことが必要です。
複数足のローテーションに研究上の根拠はあるか
複数足の使用とランニング関連の負傷には「関連」を示した研究があります。ただし、原因と結果は確定していません。
Malisouxらは、レクリエーションランナー264人を22週間追跡しました。87人が期間中に少なくとも1件のランニング関連の負傷を報告しています。
解析では、複数のランニングシューズを並行して使う群で、負傷発生のハザードが低い関連を示しました。調整ハザード比は0.614、95%信頼区間は0.389〜0.969です。
一方、この研究はランダム化比較試験ではなく、前向きの観察研究です。複数足を使う人は、練習の組み方、他競技への参加、過去の負傷なども違う可能性があります。
この研究から分かるのは、観察した集団で複数足の使用と低い負傷ハザードが関連したことです。5足という数、特定ブランド、特定モデルの組み合わせを検証した研究ではありません。
私が5足を使う主な理由は、研究結果を再現するためではありません。練習意図を分け、走った後の記録を比較しやすくするためです。
最初から5足はいらない:2つの役割から始める
今1足しかなくても問題ありません。次の5段階で、必要な役割だけを増やします。

以下は研究で検証された手順ではなく、私が用途を整理するときの実務的な流れです。
今の1足に任せている役割を書く
「平日の5km」「週末の長い距離」「通勤と兼用」など、実際の使い方を書きます。商品説明ではなく、自分の生活から始めます。
走った後の事実を3点だけ残す
距離、練習の強度、気になった場所を記録します。「良い・悪い」だけで終わらせず、膝の張り、マメの位置、かかとの浮きなどを短く残します。
今の1足で困る場面を一つ選ぶ
長い距離で足指が当たるのか、速度を上げた日に重く感じるのか、普段の移動と走行を分けたいのか。一度に一つへ絞ります。
二足目は「違う役割」で試す
色違いを増やすのではなく、今の一足と使う場面を分けます。店内だけで決めず、返品条件や試し履きの範囲も確認します。
数回使ってから残すか決める
一回の好印象だけで固定しません。距離と強度を少しずつ変え、違和感が続く場合は使用を止めます。痛みや腫れ、しびれが続く場合は整形外科などの医療機関へ相談してください。
普段のジョグ用を基準にし、ロング走、速度練習、レース、生活用のうち、今一番分けたい一役だけを足すと管理しやすくなります。
買い足す前に確認する4項目
- サイズと幅:シリーズ名より、実際に履いたときのつま先、甲、かかとを見る
- 使用場面:普段のジョグと二足目の担当が重なりすぎていないか
- 記録:距離、速度、路面、違和感を同じ形式で残せるか
- 相談サイン:痛み、腫れ、しびれ、歩きにくさが続いていないか
足の症状があるときは、シューズを増やすことが先ではありません。買い替えを繰り返す前に医療機関へ相談し、症状の原因を確認してください。
まとめ:5足より先に、1足の担当を決める
私の5足ローテーションは、平日ジョグ、ロング走、ペース走、レース、ウォーキング・低強度日の5役です。
- 880系を平日のジョグに使う
- GEL-NIMBUS系を週末のロング走・LSDに使う
- Pegasus系をペース走・インターバルに使う
- adios Pro系をハーフ以下のレースに使う
- GEL-KAYANO LITE系をウォーキング・低強度日に使う
この組み合わせは私の自己申告で、全員向けの購入リストではありません。研究も「5足5役」を検証したものではありません。
最初にすることは買い足しではなく、今の1足に何を任せ、どの場面で困っているかを書くことです。二足目は、その役割を分ける必要が出たときに検討します。
よくある質問
- 初心者でもシューズを複数持つべきですか?
-
必須ではありません。まず普段のジョグに使う一足で、距離、強度、違和感を記録してください。分けたい用途が具体的になったときに、二足目を検討します。
- 同じモデルの色違いでもローテーションになりますか?
-
履き替えるという意味では複数足ですが、この記事では役割を分ける考え方を扱っています。同じモデルが合っているなら色違いが悪いわけではありません。ただし、用途の違いを作りたいなら、使う場面から選びます。
- 何km走ったらシューズを替えるべきですか?
-
走行距離だけで一律には決められません。アウトソールの偏った摩耗、アッパーの破れ、かかとの収まり、走った後の違和感を合わせて見ます。急な痛みや腫れを「寿命のせい」と決めず、続く場合は医療機関へ相談してください。
- クッションの違う靴を交互に履けば負傷しにくくなりますか?
-
複数足の並行使用と低い負傷ハザードの関連を示した観察研究はありますが、クッションの違いが原因だったとは確定できません。靴だけでなく、走行量、速度、過去の負傷、休養も一緒に見ます。
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出典・参考資料
- New Balance Japan「Fresh Foam X 880 v15」ニュースリリース(2025年3月10日)
- ASICS「GEL-NIMBUS 28」公式特集
- Nike「ナイキ ペガサス 42 メンズ ロードランニングシューズ」公式ページ
- adidas「アディゼロ アディオス プロ」公式ページ
- Malisoux L, Ramesh J, Mann R, Seil R, Urhausen A, Theisen D. Can parallel use of different running shoes decrease running-related injury risk? Scand J Med Sci Sports. 2015;25(1):110-115. DOI: 10.1111/sms.12154. PMID: 24286345.(264人、22週間の前向き観察研究。複数足の並行使用と負傷ハザードの関連を報告。因果関係は確定できない)
著者:芝田 拓望(理学療法士・臨床10年目/市民ランナー。年間1,000〜1,500km前後、フルマラソン複数回完走。走行実績は自己申告です)。詳しくは 運営者プロフィール をご覧ください。
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